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姿を現す“謎の少女”『カオス・チャイルド』乃々編【錯綜する光と影に惑う思いは】感想

「カオス・チャイルド」の乃々ルートの感想です。明かされる“謎の少女”の真相。そして来栖乃々と南沢泉理の過去。乃々編は最も濃い個別ルートだと思います。

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ネタバレなし感想 箇条書き

2017-02-14-193858・ネット上ではこれがTRUEでいいんじゃない?という声もある乃々ルートでしたが個人的にはそこまででもないかな?というのが正直な所感です。しかしながらずーっと引っ張ってきた乃々と南沢泉理のネタばらしは衝撃的でした。

 

・「乃々」のメインシナリオなので仕方ありませんが、おっけいさんこと世莉架がかなり割りを食っています。おっけいさんが都合のいい扱いをされてしまった印象。この役回りはおっけいじゃない。

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有村がうざかわいい。生意気でちょっと図々しいけど有村天使と言わざる得ないくらい癒やしでした。裏表がない安心感がいい。「ありむらひなっしゃーーーー!!!!」▼雛絵ルートについてはこちら。

http://shutalog-com.check-xserver.jp/2017/02/14/post-9759/

 

・川原くんさあ、わかっちゃいたけど君にはがっかりだよ。彼は自己中な暴力マンと見せかけて情に厚いイイヤツで、拓留とわかり合う日が来る。そう思っていた時期が僕にもありました。

※以下はネタバレ記事のためプレイ前の方は要注意ですよ。

以下ネタバレ「乃々編」あらすじ

ニュージェネ再来の真犯人が世莉架であると突き止めた乃々は、碧朋学園の屋上で世莉架とディソードの剣閃を交える。乃々が世莉架の真意を見透かして語ると明らかに様子がおかしくなった世莉架は乃々を仕留める必殺の一太刀を振り下ろす。

 

間一髪、割って入った拓留が乃々を助ける。世莉架は拓留が自分を選ばなかった事にショックを受け退散。乃々殺害に失敗した世莉架はターゲットを佐久間(拓留と乃々の義父)に変更。家計を支えていた父親を失った拓留たちは青葉寮を出ていかざるを得なくなり、新居のボロアパートへ越す。

 

乃々が「家族の間で隠し事はしないことという家訓を掲げ貧しいながら新しい生活を始めた拓留たちだったが、世莉架がこのまま黙っているはずもなく‥。

“謎の少女”の正体

2016-12-31-114939OPに登場していた“謎の少女”は南沢泉理だった。さらに、拓留にいつも世話を焼いていた義姉の乃々こそが南沢泉理本人だった。まとめると、

 

“謎の少女”=南沢泉理=来栖乃々

 

つまり作中を通して登場する拓留の姉の乃々はニセモノ。南沢泉理がギガロマニアックス能力(コピー)で本物の来栖乃々に成りすましていたというのが隠された真相。(本物の来栖乃々は渋谷地震で死去)

南沢泉理(みなみさわ せんり)とは?

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▲左から川原君、乃々(本物)、南沢泉理

 

泉理は乃々の小学校時代の親友でした。乃々と泉理、川原君はよくいっしょに遊ぶ仲だった。もっとも乃々と泉理は仲が良いが、川原君は乃々にしか眼中はなく泉理のことは友達だと思っていなかった。

 

拓留が小学生の頃にAH東京総合病院に忍び込んで目撃した人体実験の被害者でもある。泉理を見捨てて逃げた拓留は発火能力を持つ女が襲ってきた時は復讐者である泉理がニュージェネ狂気の再来の犯人だと考えていた。

 

しかし拓留と雛絵を襲ったのは杯田理子(はいだりこ)という泉理のフェイクだった。ニュージェネ再来の真犯人は世莉架と佐久間ですしね。乃々(偽)がその正体を隠していたのは、とても後ろめたい絶対に人に知られたくない過去があったためです。

「私は、乃々ちゃんになりたかった」

泉理が乃々に成り代わったエピソードがエグい。

 

■来栖乃々(偽)誕生の経緯

①内向的で友達がほとんどいない少女・泉理は新興宗教に傾倒した親の勧めでAH東京総合病院でギガロマ研究の人体実験の苦痛に責められ続ける過酷な日々を送っていた。

 

②泉理はスクールカースト上位の明るく才色兼備、誰からも好かれる来栖乃々に憧れていた。乃々は波長があった泉理に声をかけて2人は仲の良い友だちになった。憧れの乃々が手を差し伸べてくれた事は暗い陰が指す日々を過ごしてた泉理にとって大きな希望になった。

 

③しかし渋谷地震で乃々はガレキに潰されてあっけなく死亡。現場に居合わせた泉理は大切な乃々の死に絶望する。「乃々ちゃん、私、乃々ちゃんになりたかった」「誰にも必要とされていない私が、死ねばよかった。」そう呟く泉理。

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▲本当の来栖乃々(左)は渋谷地震で死亡。

 

④泉理の慟哭は偶然にも歪んだ奇跡をもたらした。ギガロマニアックスの素質があった泉理は乃々の死という過剰なストレスに晒された結果、眼前にディソードがリアルブート。ギガロマニアックスに覚醒すると同時に泉理の姿は乃々のそれになっていた。

 

⑤泉理の中でささやく悪魔。「このまま乃々ちゃんになれば‥」乃々の遺体をガレキから引きずり出して炎の上に寝かせた。遺体は黒焦げになり乃々に成り代わった泉理は、黒焦げの遺体は南沢泉理のものだと嘘の証言をした。

 

⑥以降、誰からも好かれる乃々として第二の人生を送り始めた泉理は、青葉寮に引き取られ拓留と出会うことになる。

 

偶然にも、憧れの乃々に成り代われる状況が揃ってしまった泉理は、乃々の遺体を燃やして証拠隠滅をはかったという恐るべき事実。まさか、あの委員長キャラで清廉潔白な乃々(偽)に隠されていた黒い過去。たしかに泉理のやったことは許されない行いです。

 

しかしですね、暗くて友達がいない上に過酷な実験の苦痛に晒されるという地獄の日々から一足飛びに抜け出して、みんなから愛される存在になれるという千載一遇のチャンス。これを悪い事だからと理性で拒める人間がどれだけいるでしょうか?誰も一方的に泉理を非難することはできないと思います。

家族への気持ちは偽りじゃない

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▲全てを打ち明けた“南沢泉理”は拓留を助けるために命を懸けて世莉架に挑む。

 

「家族の間で隠し事はしないこと(キリッ」なんて言ってた乃々(偽)が思いっきり家族に隠し事をしていたわけですが、成り行き上仕方なかったのかと。泉理が拓留たち青葉寮の家族と出会った時にはすっかり乃々として生活していましたし。

 

死んだ乃々(本物)をなかったことにして、彼女を利用していたことは泉理の罪ですが、泉理が渋谷地震の後遺症で体を動かせない拓留に献身的にリハビリに付き合い、さらに自分の殻に篭りがちでコミュニケーションが苦手な彼に明るく歩み寄ったことなど、結衣や結人や佐久間にも家族として注いできた気持ちは決して嘘なんかじゃない。

 

泉理も元々は拓留と似た者同士な所があって、暗くて口下手で友達がいなかったんですよね。奇妙な偶然が重なって、憧れの「乃々ちゃん」に成り代わった心の弱い少女は、乃々を演じることで明るく世話好きで誰からも好かれる人間へと成長した。

 

泉理が努力して180度性格を変えたことや、拓留たちのために血縁の家族以上の愛情を注いできたことは、ただただ尊敬の気持ちしか浮かんでこないです。

 

泉理が嘘をついていたことに当初は激怒した拓留でしたが、名前や姿形がどうであれ、拓留にとって、この姉が恩人であり大切な家族であることに違いはないと気がついた。拓留のためだと言いながら悲惨な事件を引き起こした世莉架ではなく、泉理とともに生きていくことを選んだ拓留。

悲しい“カオス・チャイルド”

2016-12-29-173544世莉架が完全に乃々(泉理)と拓留に立ちふさがる障害として扱われていました。共通ルートで犯人だと発覚してから世莉架はクールで頭の切れるキャラとして描かれていたが、乃々編では「あははははっ!殺る気まんまんだね!のんちゃんっ!!1」などと発狂する悪女のような一面を見せ、クールとヒールな悪女が混ざり合ったカオス状態に。

 

世莉架は拓留の望みを叶えるためにリアルブートされた人間。「私はタクの望みを叶えるために存在している」と言いつつ、自分の気持ちを優先して結衣を殺し乃々(偽)も手に掛けようとした世莉架の行動は矛盾している。その矛盾っぷりは当ルートでも描かれてました。

 

拓留が「僕はもう死にたい」と絶望していると。「じゃあ殺してあげるねタク❤」とディソードで拓留を殺そうとする。しかし正体をさらけ出した泉理がこれを阻止。泉理と過ごした時間を思い出し彼女を受け入れた拓留が「やっぱり泉理と一緒に生きたい」と思い直すと、

 

世莉架はブチ切れて「その望みごと葬ってやる!!!!」と2人に敵対。

 

この世莉架のブレた発言には、思わず「え?」って声を出してしまった。つまり世莉架は「拓留の望む世界を見せてあげたい」と言っているけど、拓留の望む未来で自分を大切にしてくれないのは嫌だっていうのが本心でしょうねえ。

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最後は自らの使命に則り拓留の気持ちを汲んだ世莉架は、自ら消滅することを選択する。

 

サヨナラ…タク(´・ω・`).;:…(´・ω…:.;::..(´・;::: .:.;: サラサラ..

 

拓留のディソードに触れたら粒子となって大気に溶けて消えるという、なんという都合のいい綺麗な死に方。な、なんて便利なんだギガロマニアックス。色々やらかしたとはいえ、世莉架が可哀想だなあ。

 

作品のタイトルの「カオス・チャイルド」はリアルブートされた人形・世莉架の事も指しているのかなと思いました。カオス(混沌)というのは世莉架の中で拓留の願いの実現とそれに相反する自分の本心がグチャグチャに混じり合っている様を指していて、そのために彼女は矛盾し続ける悲しい迷い子だった。

 

ラストで拓留と泉理が乃々(本物)の墓で手を合わせるのはいいけど、世莉架の事も供養してやってほしい。臭いものにはフタをするように、世莉架がなかったことにされてる感がモヤモヤっとしました。

 

世莉架救済編のTRUEの記事はこちら。世莉架をなかったことにするな!なんて上で書いておきながらTRUEの記事で矛盾したタイトルを付けていますが…..まあ、プレイを重ねると色々気持ちは変化するものです。

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