妄想科学ADV「CHAOS;CHILD-カオス・チャイルド-」の1週目で必ずプレイすることになる共通ルート(1~11章)を遊んだ感想記事です。
この記事の目次
そもそも「カオス・チャイルド」って何?
▲主人公の宮代拓留(みやしろたくる)
一言で言うと、自称“情報強者”の高校生、宮代拓留が渋谷で頻発する猟奇殺人事件の真相を追いかけるアドベンチャーゲームです。(対応ハードはXbox One/PS4/PSvita/iPhone)
SFサスペンス『シュタインズ・ゲート』を手掛けた志倉千代丸さんが原作です。ギャルゲ絵のカラフルな髪の毛の女の子がたくさん出てきます。
「えへえへ~」と笑う明るい幼馴染。しっかり者の義姉。生意気なツインテールの後輩。無口なメガネ巨乳とバリエーション豊富。みんなで楽しく事件を追いかけちゃおう!リア充ハーレムストーリーです❤(大嘘)
▲「カオス・チャイルド」のヒロイン。左から乃々、世莉架(せりか)うき、雛絵、澪、華。
えーギャルゲかよ。絵が受け付けないなー。なーんて思ってるそこのアナタこそプレイする価値がある作品です。きっと予想を遥かに上回る心にズブリと刺さる物語を体験できますよ!
キーワードは“猟奇殺人” “渋谷” “超能力”
物語は2015年の渋谷から。“ニュージェネレーションの狂気の再来”と呼ばれる連続猟奇殺人が起こると、事件に興味を持った高校の新聞部部長・宮代拓留(みやしろ たくる)がこの謎を解いてやろうと動き出す所から始まります。
ただし単なる猟奇殺人モノではなく作品タイトルの「妄想科学」とあるように、超能力の要素がガッツリ絡んできます。自分の妄想を現実に変換できる能力者・“ギガロマニアックス”。
量子力学を用いてギガロマニアックスの原理を説明していますが、科学的なウンチクはアッサリしています。なのでSF要素を期待してる人にはいまいちかもしれません。
▲ギガロマニアックス(妄想具現化能力者)がリアルブートする“ディソード”は妄想を具現化する端末であり武器。
なお「カオス・チャイルド」は科学ADV第一弾「カオス・ヘッド」の続編ではありますが、「カオス・ヘッド」をプレイしていなくても全く問題なく本作だけでほぼ95%楽しめます。なぜなら僕が「カオス・ヘッド」プレイしてなくてもカオチャ楽しめましたから。
「カオス・ヘッド」を知っていたら120%楽しめますよ、というくらいのつながり具合です。興味がある方からやればいいじゃなーい。って思いますね。
ネタバレ無しの感想:絶望のエンタテインメント
とてもつらい…。11章までプレイして5回くらい心をバッキバキ折られました。このゲームのシナリオは容赦がないです。人が心の奥底で大切にしてる拠り所ってあるじゃないですか?
そういうナイーブな部分に対して一切の躊躇なく、手を変え品を変えあらゆる手段で踏みにじってくる、そんなお話です。8章くらいから精神的に来るシナリオ展開なんだけど、
気が付かない内にどうしようもない泥沼にハマってしまった主人公の拓留がこれから先どうなっちゃうんだろう?っていう一心でどんどんシナリオを読み進めてしまう中毒性がありますね。
主人公の拓留は真実の追求こそ素晴らしいと考える自称・情報強者で、徐々にニュージェネの再来の真相に近づいていくわけですが、その先に待ち受けていた真実(TRUE)は絶句してしまうような現実なんですよねぇ。
音楽でわかる「カオス・チャイルド」の雰囲気
僕は人にカオチャを勧めたいとよく思ってまして、でも具体的なことを言うとネタバレの可能性があるので言葉選びに慎重になるんですよねw そこで閃いたのがBGMを聴いてもらう!というもの。
「WORLD -C;C MAIN THEME-」はカオチャのメインテーマ曲。恐怖、寂しさ、理不尽、…そして虚無感。カオチャがどういう作品なのか耳で感じてもらえると思います。
「DI-SWORD OF SADNESS」はカオスチャイルドの重大なシーンで流れるので印象に残ります。あるヒロインの深い悲しみと怒りを演出したようなドラマチックなBGM。
カオスチャイルドの雰囲気がわかる動画
▼具体的なネタバレをしないでシナリオの雰囲気がわかる良い動画です!PVのBGM「 WHAT WAS LOST」は心をチクリと刺します。
ゲームシステム
マッピングトリガー
「マッピングトリガー」 は事件の推理パートで使用されます。渋谷区の地図上に写真やふせんを貼ってニュージェネの狂気再来の推理と物語の整理に用いるもので、プレイヤーに親切なまとめシステムですね。
ADVはただボタンを押してシナリオを読み進めるだけになりがちですが、マッピングトリガーパートはプレイヤーも多少考えて正解しないと先に進まないので、強制的に話の内容が頭に入りますw 欠点は周回プレイの時飛ばせない事ですがそこはご愛嬌。
▼ちなみに、スマホ版のカオスチャイルドであればマッピングトリガーのスキップ機能が実装されているので2周目以降はラクにプレイできます。
iOS&Android版『CHAOS;CHILD』は、エンディングに到達するとマッピングトリガーのオートコンプリート機能が解放され、周回プレイも楽々プレイできます!
※Android版のセールは11日(月)まで!https://t.co/4tgWsFdcWE pic.twitter.com/lrORapbyo1
— 5pb.モバイル (@5pb_Mobile) 2017年6月5日
妄想トリガー
「妄想トリガー」はシナリオ分岐に影響する選択肢です。所定の箇所で自動で発動しプレイヤーに物語への介入を促します。妄想トリガーとゲーム攻略については以下の記事にまとめています。
※広告下は思いっきりネタバレ記事です。未プレイの方は絶対に見ないで下さい。カオチャはネタバレすると致命的なのはおっけい?
以下ネタバレ!1章~11章(Over sky end)感想
1章から9章までのあらすじと感想
▲世莉架の持ち物のゲロカエルんストラップ。重要な伏線になるアイテムでした。
“渋谷地震”による震災から復興した2015年の渋谷で「ニュージェネレーションの狂気の再来」が起こり拓留が興味を持つ。ゲームが始まるとすぐに第一の事件「こっちみんな」が描かれます。
大谷が腕をチーズのように包丁で斬ったシーンは衝撃的ではあるのですが、いきなりモブキャラの話を長めに見せられてしかも出グロというのは‥。ここで脱落する人がいるんじゃ?と余計な心配をする。掴みはOKじゃない導入部です。
拓留は現場に共通して貼られていた“力士シール”をヒントに事件について調べ始め、第三の事件「回転DEAD」は自ら事件現場に居合わせることになる。現場の道玄坂のラブホに拓留を誘導したのは世莉架ちゃんです。
第四の事件「ごっつぁんDEATH」は拓留の学園祭で発生。調査を進める内に事件の被害者になったのは共通して「ギガロマニアックス」という超能力者であることがわかる。後輩の有村雛絵や拓留本人もギガロマニアックスであることが発覚!一転して事件の傍観者から狙われる立場になる拓留たち。
拓留に発火能力を持った復讐者(フェイク)がけしかけられたり、真犯人に洗脳された親友の伊藤の手によって大切な義妹の結衣(ゆい)をバラバラにされプレゼント箱に詰めるという悪魔の所業を見せつけられ(第六の事件:非実在青少女)どんどん精神的に追い詰められていく。
▲みんなトラウマになる8章の「非実在青少女」
プレゼント箱はエグすぎて駄目だった。ここでカオスチャイルドの容赦のなさを感じました‥。やばいやばい!カオチャは僕のメンタルを殺しに来てるぞと!「結衣をあんな風に殺した犯人を絶対に逃すものか!」と怒る拓留(僕)は真犯人を突き止めるが…。
それは到底ありえない人物。そう…犯人は拓留の幼馴染の尾上世莉架だった!!!なんでよりにもよって世莉架ちゃんなんだよ!拓留(僕)は怒りの矛先を向けるどころか、嘘だと言ってくれよ!!という状態に。
いち早く世莉架の正体に気がついた拓留の義姉の来栖乃々は、世莉架を夜の学校に呼び出し拓留の預かり知らない所で2人はリアルブート(現実化)した妄想の刃、ディソードの光を激しくぶつけ合うのだった。
10~11章の感想(真犯人との決戦)
大切な義姉の乃々は大切な幼馴染の世莉架によって惨殺された。なんですかこれ?!!もうね…この時点でハッピーエンドは絶対ありえねーっていう血みどろ展開。拓留の大切な女の子2人が殺し合って一人が死亡って誰得ですか!!!!1
2人は拓留から見て親友のように過ごしてたのに、世莉架は乃々のことを友達だと思ってなかったって、何だよそれ(´;ω;`) 乃々が世莉架に刺された現場を見るや否や我を忘れた拓留がディソードで世莉架に斬りかかるシーンも見ていてやるせないですし。
しかもニュージェネの狂気再来の犯人は2人。黒幕は世莉架と佐久間(拓留の父親)だった。この親父は震災孤児の拓留や乃々たちを引き取って育てた気のいい医者のオッサンで拓留たちを実の家族のように大切にしていたんですよ。フリとかじゃなくてマジ。
本当にいいお父さんしてたんですよねえ佐久間先生。一方で佐久間にはギガロマニアックス研究にのめりこんだマッドサイエンティストという裏の顔があった。拓留の能力を増大させ研究するために、彼を追い込もうと自分の娘である乃々と結衣を殺した。
佐久間(上)と彼が引き取って育てた子供たち。左が拓留、右は乃々。
大切な家族を壊した理由を激しく追求する拓留への佐久間の答えは「面白れぇだろ?」というもの。佐久間はサイコパスだ。彼の能力、“思考誘導”(洗脳みたいなもの)で拓留に世莉架の首を絞めて殺させる(未遂)シーンは、カオス・チャイルドの中でもワースト1、2に入るシーンで見ているのがとても辛かった。
主人公がヒロインの幼馴染を絞殺するシーンて!ホント誰が喜ぶんだこれ!!!
佐久間クソヤロウが娘たちを手に掛けたことに何の痛みも後悔も感じていないので拓留がブチ切れちゃったのもあるけど、この親父が結人やうきたちまで殺しに行こうとするもんだから、これを阻止するため拓留は父さんをディソードで殺害。
あのですね‥。このお話は異世界ファンタジーじゃないんですよ。渋谷という現実世界を舞台にしたリアルなドラマなので、主人公に殺人をやられると複雑な気分になる。それにどんなクソ親父でもお父さんですからね。
親殺しするシーンなんて気持ちのいいもんじゃありませんよ。なんなんですかこの虚しさは‥‥‥。更にもう一人のラスボスである世莉架は拓留が6年前にリアルブートで作り出された存在。世莉架が拓留に生み出された理由は「拓留にやりたいことを与えるため」というもの。
他人の考えが丸わかりの“思考盗撮”の能力で世莉架は拓留の思考を読み、彼の願いを叶えるべく「ニュージェネの狂気の再来」を画策する。世莉架が考えた“ゲーム”はこうだ。「カオス・ヘッド」の西條拓巳に憧れていた拓留が食いつくように「ニュージェネレーションの狂気」と同じ日付で猟奇殺人を次々と起こし、事件の謎を追わせるように仕向ける。
そして一連の事件の主犯に断定された拓留が最後の最後でえん罪をはらして英雄になるという大逆転シナリオを用意。(西條拓巳の逆転劇を模倣)
▲「わたしの考えたタクのための“ゲーム”」は拓留の手で中断。泣き崩れる世莉架ちゃん。
世莉架は拓留をそのゲーム上で動かして英雄にしてあげるつもりだった。という狂気的で過保護すぎる拓留への愛情だった‥という感じ。いやいやいや!!あのさぁ‥世莉架ちゃんさあ‥‥。
愛情表現が過激すぎるよ。もっと他に何かなかったの?拓留の承認欲求を満たす手段ならもっと健全なやり方があったろうに。拓留に黙って勝手にトンデモない計画を進めてムチャクチャやらかしちゃってまあ。
それに乃々と結衣の死が拓留の望みじゃないのは明らかですよね。間違いなく世莉架の2人への嫉妬が原因かと。「わたしがタクの事をいちばんよくわかってるんだ!」と思っているおっけいさんは拓留と親しい乃々と結衣が許せなかった。また拓留の親友、伊藤に対しても同様の感情があったためあんな仕打ちを‥。
“ぼくのかんがえた、さいきょうのおさななじみ”が怖すぎる。「おっけい!」とか「う?」とか言ってた明るくてちょっと天然の入った明るい女の子は全部演技だったのかと思うと泣ける。世莉架って拓留たちと新聞部で過ごしてる時、本当は何を考えてたんですかねえ?
世莉架視点のカオスチャイルドがあったら是非見てみたい。ギガロマニアックスのシリアルキラー尾上世莉架をリアルブートしたのは拓留なわけで‥。拓留は責任を果たすために世莉架を何も知らない普通の女の子に改変する。(もう何でもありだなギガロマニアックス!)
結局、死んだ大谷も高柳も柿田も渡部も‥結衣ちゃんも乃々も戻らないし、伊藤はトラウマと罪を背負って生きていくことになるし、拓留まで結果的に親殺しの殺人犯になってしまう。拓留が収容先の病院から警官を殺して脱走‥‥という終わり方も不穏な上にすごく後味が悪い。
最高にクソッタレです。超!バッドエンド。ここまでやられるといっそ清々しいですよハハハ。ただこれで終了じゃあまりもに救いがないので、乃々ルートとTRUEがあるわけですがその結末は果たしていかなるものか?
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