タイムリープ・サスペンスの傑作『僕だけがいない街』で有名な三部けい先生の新作漫画のレビューです。掲載雑誌は月刊ヤングエース。
この記事の目次
『夢で見たあの子のために』とは?
第5話まで読んだ感じだと、現代劇サスペンスで復讐の物語の様子。結構ダークなリナリオになりそうです。
『僕だけがいない街』って何???って言う人はこちらをどうぞ。
以下ネタバレ記事となります。
登場人物
■中篠千里(ナカジョウ センリ)
主人公の男子高校生。13年前に両親を何者かに殺害され双子の兄は行方不明。金がいくらあっても足りないらしく悪友とつるんで危ない方法で稼いでいる。
■恵南(エナン)
千里と仲の良いヒロインっぽい女子高生。三部けい氏らしいタラコ唇の女性キャラ。もみじ園という児童養護施設らしき所で子供たちの世話をしている。千里のことを気にかけ、その身を案じている。
■火の男(犯人)
13年前の雨の日に千里の家族を惨殺した男。右腕に漢字の「火」のような傷後がある。
■一登(カズト)
千里と仲が良かった双子の兄。千里は13年前の事件の際に火の男に兄を殺されたと考えている。
▲タラコ唇のヒロイン・恵南(エナン)
『第1話』あらすじとネタバレ感想
あらすじ
5歳の頃に家族を殺された高校生の千里。同じ高校の男子生徒・板倉がゴロツキに塾の授業料の20万を奪われたので取り返して欲しいと依頼をしてくる。そんな千里を見て恵南(エナン)は「そのうち大ケガするよ」と警告する。千里は恵南の心配に感謝しつつもゴロツキを探すが…
一話ピックアップ!“千里の2本指差し” “失踪した双子の兄”
■千里が鏡に向かって2本指で指差しをする意味。
二回あったんですよね。ピースした指を鏡に押し付ける描写が。これ何なんでしょうね?気になります。後半で犯人を描いた狂気じみた絵が出てきますが、絵の首がハサミで切らられるシーンから、ハサミのような指は犯人の首を切ってやる!という暗示でしょうか?
▼主人公の中篠千里(ナカジョウ センリ)と特徴的な謎のピースサイン。
■13年前に失踪した“千里の双子の兄”は犯人が連れ去った?
▲右腕に引っかき傷のある犯人が誰かの腕をつかんで事件現場から去っていくシーンがあるんですよね。千里の両親殺しの犯人は重要ですが生き別れの「双子の兄」のキーキャラになるのは間違いなさそう。
いや千里の兄貴が生きているとは限らないんですけど、お話的には生きてそうですよね。
■舞台は葛飾区。スカイツリーも登場。
背景の描写が綿密でガッツリ描いてあります。実写化したらスカイツリー近辺が舞台のドラマとして有名になりそう。(気が早すぎる)まあ大ヒットした僕街の作者だけに二作目も何らかのメディア展開もありえそうですので。
■『夢で見たあの子のために』タイトルに隠された意味は?
タイトルの意味を想像するの好きなんですよね僕。『僕だけのいない街』のタイトルの意味はそりゃあ見事なものでしたし『シュタインズ・ゲート』のタイトル回収もそういうことかよおお!!!と唸ったものです。
ガッツリと作中でタイトルを回収してくる作品は大好きです!
誰かが「あの子のために」何らかの目的を遂行するシナリオってことでしょうが、これは誰の行動原理なのか。オーソドックスに考えて千里が「あの子のために」復讐をする話なのか?じゃあ「あの子」って誰だろう?とか色々考察しがいがありそうです!
『第2話』(9月号収録分)あらすじとネタバレ感想
前回までのあらすじ
千里はクラスメイトの板倉を騙して奪った金を悪友たちと分けているとTVに写っていた右腕に漢字の“火”のような傷跡をした男を偶然見つける。
千里は「見つけたぞ….これから俺が殺す男を…」と心の中で念じ、殺意をたぎらせる。
二話ピックアップ!“痛みや視覚を共有する兄” “狡猾な犯人”
■千里と感覚を共有する兄、一登(カズト)
13年前に死んだ(?)千里の双子の兄の名は一登。双子なので見た目がうりふたつの兄弟ですが、千里と一登の双子が特徴的なのは、痛みや視覚を共有するという設定ですね。二人の父親はDV男で「僕だけがいない街」のヒロイン雛月の虐待シーンのように目を背けたくなるような暴力描写があります。
それで親父から兄・一登が殴られると弟の千里も体に痛みが走る。更に一登が痛みを感じた時に見た光景が千里の頭の中に再生される。肉体は別でも知覚がリンクする二人。これは面白い!きっと千里が犯人を追いかける上で重大なギミックになりそう。
千里は兄が死んだと思っている。その理由として一登が目で見た映像が千里に見えなくなったからだと描写されてます。一登の感覚がリンクされない=一登は生きていない。ってことですね。
ただシナリオ的には一登は生きていると思うんですよね。そのほうが面白そうだし。
■狡猾な犯人、“火の男”
13年も警察に捕まってないあたり犯人の“火の男”はなかなか狡猾な男のようです。
▲後ろからカメラで撮られていることに気がついた犯人は“火の傷跡”をとっさに隠す。
火の男はTVの取材が来た日から途端に職場に来なくなり失踪。傷跡をTVで放送されたので身バレを防ぐために速攻で消える行動の速さ。千里がTVに写った職場に向かい犯人の住所を特定するが、犯人のアパートに行ってみると住人の女に犯人は一週間前に死んだと告げられる。
いやこれ絶対死んでないだろ…..。第二話で犯人死んだらこの漫画終わっちゃうしね!どうやったか謎だけど世間には死んだように偽装して逃亡したとしか。まったくの別人を殺して自分の死をでっちあげたとか?この作者が描く犯人ならやりそうな手口かなと。
『第3話』(10月号収録分)あらすじとネタバレ感想
前回までのあらすじ
双子の兄、一登(カズト)の仇である火の男の居場所を偶然つかんだ千里(センリ)は急ぎ男の住むアパートへ乗り込むが…
3話感想・箇条書き
・千里の復讐の動機は兄の一登を殺されたことであって、自分たち兄弟に関心のなかった両親はどうでもいいようです。まあ親父なんかムナクソDV男ですしねえ。
・火の男の“自殺方法”は焼身自殺。いやぁ、これは「スケープゴートにされた人が他殺された」の間違いかと…火あぶりで殺害とか残虐無比ですな…。
千里は「俺が殺す前に勝手に死にやがってテメェ!」という感じでブチギレてたけど、ヤツは絶対生きてるから安心して復讐できるぞ千里!
・“自殺現場”にあったパスケースは火の男の手がかりになりそうですね。
・それにしても、わからないのは13年前の雨の日に千里の両親を殺した犯人がカズトを連れ去った理由。千里が視覚共有で見たカズトの記憶ではカズトは連れ去られた後日にナイフで殺されたようですが…(????)
両親は殺したのにカズトは何故その場で殺さず誘拐し、後日に殺害したのか?火の男の目的がさっぱり不明です。
そもそもカズトが本当に死んだのかも疑わしいと思っています。
『第4話』(11月号収録分)あらすじとネタバレ感想
いつも電子版買ってましたけど今回は紙の本を購入しました。KindleアプリPC版のダウンロード速度があまりに遅かったので。
それにしても『ヤングエース』ブ厚いよ!1000ページくらいあるよ!!
前回までのあらすじ
犯人の火の男が焼身自殺した?千里(センリ)は復讐が失敗したと思い、勝手に死にやがってと独り憤っていると謎の二人組が背後に忍び寄っていた。
4話感想・箇条書き
江南(エナン)「そのライター倒したら ここに居る全員燃えるから」
・恵南ちゃん度胸ありすぎ。
今まであまり目立っていなかったヒロイン・恵南の活躍回でした。争っている千里たち男三人が下手をしたら全員丸焦げになるという場面に乗り込んできて頭脳プレー事態を収めるとは…。
この娘、ただのタラコ唇じゃなかったぜ。復讐心で暴走する千里のいいブレーキになりそうだ。というか今のところ憎悪に取り憑かれた千里を止められるのは江南だけ!って感じ。
江南は千里のいい嫁になる!巨乳だし()
・やっぱり火の男は生きてました。
自称金貸しの男二人組が確信をもって火の男を追いかけている様子から、丸焦げ自殺跡は別人で確定。
この漫画はどんな結末になるんでしょうか?犯人を殺すためなら犯人以外の人間を手に掛けることも躊躇しない千里。今回は恵南が止めたけど、
千里が犯人を殺害して復讐を果たしても、めでたしめでたし!……という気持ちにはならないし、主人公がリアルに人殺すのは後味悪いですよね。
千里が拾った犯人のパスケースに千里の母の写真が入っていたことから火の男と千里母は何か関係があるんでしょうか?不倫関係とかだったら嫌だなーw
5話感想はこちら
『夢で見たあの子のために』コミック1巻が12月発売
早くも単行本の予定が出ていました。こりゃ買わねば。