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“ギガロマニアックス”『CHAOS;CHILD』レビュー5【第5章:妄想の住人が騒ぎ迫る】

カオス・チャイルド第五章のレビューです。とうとうカオス・チャイルドの物語は妄想科学の領域へとシフトします。SF的展開が好きな人には興味深いネタが出てくるエピソードです。

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前回のあらすじ

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スマホを取り戻すためにAH東京総合病院に潜入した拓留、世莉架、伊藤。深夜の病院内を徘徊する謎の少女が解剖室のある部屋から地下施設へ降りていった。

 

後を追ったタクらは地下に広がる湿っぽくて暗い通路で力士シールの顔をした女に出くわす!

人体実験の生け贄“南沢泉理”

2016-08-10-102504▲少しくどいくらいに何度も本編で繰り返し出てくるヤバイ実験の回想シーン。

 

力士シールの女は流石にタクの妄想でしたw 拓留たちの他にも地下施設に忍び込んだ者がいた。口の悪い白衣の女子高生・久野里澪(くのさと みお)だ。久野里は自分の目的を邪魔されては困るからついて来い、とタクたちの同行を促す。

 

彼女に連れられて辿り着いたのは、研究室のようなPCがある大部屋。PCを起動しファイルを調べる久野里サン。調査で明らかになったのは、AH東京総合病院で行われていた人体実験の数々。「簡単に言うと人間の脳をいじる実験だよ」あっさりと怖い事を言う久野里。

 

何度も繰り返しタクの悪夢で出てくる拘束された少女。そして「タス……ケテ…」「タス……ケテ…」という声。データによると、彼女の名は【南沢泉理】!この名前…乃々が墓参りをしていた渋谷駅前の慰霊碑に刻まれていたもので、乃々の昔の友達ですね。川原くんと乃々と泉里三人でよくつるんでたっていう。川原くん女子2人と仲よかったとか…リア充だな。

 

まあ川原君はわりとどうでもいいんだけど、南沢泉理は実験の後も生き残ったが渋谷地震以降、行方不明であることが判明。墓があって死んだことになっている泉理さんだけど…これ絶対生きてるよね?

 

小学生の頃、世莉架と一緒にマッドな実験をされる泉理を見て恐怖したタクはその場を逃げ出した。タクは泉理を見捨てた事に罪悪感を感じているようだけど。あのシチュエーションじゃあ逃げたくなるし、あそこで彼女を助けようとする勇気のある小学生はいないと思う。泉理に悪いと思ってる時点でタクはかなりいいヤツだよなあ。

力士シールの正体

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▲よく見ると力士シールが見える11番目ロールシャッハ。中央より下にある弧がアゴ。その上に唇があります。

 

力士シールの正体は【11番目のロールシャッハ】と呼ばれるものだった。ロールシャッハ・テストというインクを紙に垂らしてできる左右対称のランダムな画像を用いた性格診断テスト。

実験をしていたマッドサイエンティストたちは、11番目ロールシャッハを素質がある人間が見ると超能力が発現する現象を観測した。

 

それ依頼大量の人間相手にエグい人体実験を繰り返していたが、超能力開発は失敗。たぶん成功したのは失踪した南沢泉理と深夜の病院を徘徊していた山添うきちゃんだけ。

 

久野里がそろそろ退散するとぞと告げるが、タクはスマホを見つけていない。スマホを拾った少女を探すために「この施設内の監視用らしきモニタが使えれば…」と思った次の瞬間、“まるで誰かが見計らったかのように”全てのモニター類が点灯。あちこちの画面には力士シールが映し出された!ぎゃあああああああ!

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画面にはこの施設内も写っていたが、渋谷の路地やら街頭やらの力士シールが貼ってある付近の様子が写っていた。タクは力士シールを見ると妄想に取り憑かれておかしくなるけど、同じようにシールを見て様子がおかしくなった人間(能力者)を探していた連中がいる。

 

そして力士シールが貼られていた現場で、能力者たちは謎の変死を遂げた。(nユージェネの再来、第一~第三の犠事件の牲者たち)能力者を殺すことが目的?渋谷限定でシールを貼って能力者探しをていたようですが、そもそも超能力者って渋谷にだけ存在してるの?

【ギガロマニアックス】妄想を現実に変換せし者

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地下施設に軟禁されていたうきちゃんを連れて、病院を脱出する一行。タクたちは久野里のアパートを経由してカフェLAXに赴く。そこに久野里に呼び出された人物「あでぃおすぐらっしあー!」が口癖の生意気な後輩、有村雛絵がやってきた。

 

「お前は何の能力者だ?」タクが能力者だと疑う久野里は確証を得るために有村を呼びつけたという。能力者のことを久野里は【ギガロマニアックス】呼んでいる。ギガロマニアックスは自らの妄想を現実化する能力を持つ。この妄想現実化現象を“リアルブート”と呼ぶ

 

ギガロマは“ディラックの海”(負のエネルギーで満たされた空間)に干渉しマイナスのエネルギーを現実空間に引き出す。すると粒子と反粒子が生まれる。それがエラーとなって他人の脳のデッドスポット(視覚野の死角)に影響を与えると、その人間に自分の妄想を現実だと思い込ませることができる。

 

「そんなのただの幻覚じゃないですか?催眠術と同じだ」タクが突っ込む。だが久野里は何なく反論する。ギガロマニアックスの妄想が周囲の人間の共通認識になると幻覚ではなく、まぎれもない現実になると久野里は言う。

 

久野里サンは面白いこと言ってますど、難しい話ですね。マンガ・アニメ的な量子論によくある、物事は人間の観測によって確定する。という概念を持ち込んでますね。

 

普通逆じゃんっていう。客観的で確固とした現実が存在してて、それを人間が見ている。というのが常識ですが人間に観測された物事がリアルとして出現するという。奇妙だから量子論ネタは面白いわけですが。

“ディソード”

2016-08-10-113015それで久野里はなんで有村を呼びつけたかというと、彼女も【ギガロマニアックス】だから。有村は何もない空間から巨大なオブジェを取り出してみせる。拓留には“それ”がはっきりと見えた。この凝ったデザインの剣のようなものは、“ディソード”と呼ばれるギガロマの証。

 

能力者しか見ることはできず、ギガロマ同士だと互いにディソードを目視することができる。ディソードは武器としても使える他、ディラックの海と現実とのパイプになる端末。その姿は邪悪であり神聖。マイナスのエネルギーで満ちた世界から取り出したそれは、ぼんやりと発光し虚ろでありながら、この世のものとは思えないほどの威容を放ってますね。

 

武器として使うには取り回しがかなり悪そう。蝶の羽根とヒトの耳を合わせたような、ちょいグロでカッコいい形状ですな。

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有村の能力は【ウソ発見器】。他人の言葉がウソか本当かわかるという。拓留は物体を自由に操作するという、応用の効きそうな能力持ちでした。一章や二章でやけに都合よく扉のロックが解除されたり、五章で都合よくモニタが使えた理由はギガロマ能力で開けていたんだよ!という反則的な種明かしでした。

 

まさに伊藤の言うように「ハハハ、超能力なんて言い出したら何でもアリじゃないか」という感想です。カオス・チャイルドはミステリー小説とは別ジャンルだからまあ。

 

第五章のラスト。復讐のために渋谷の街を這いずりまわ髪の長い謎の女。まさか…泉理?昔自分を見捨てたタクを狙ってる感ありありですが果たして…。第六章のレビューに続きます。

http://shutalog-com.check-xserver.jp/2016/08/11/post-8299/

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